HiHi Jetsに朗読劇してほしい江戸川乱歩作品について考えた
ジャニオタ、今こそ江戸川乱歩を読め。(結論)
※本題に跳ぶ前に前書きを読んでください。気分を害されても苦情は受け付けません。
※本ブログに書かれている情報は筆者の理解と知識の範疇のものです。記憶違いや研究不足による情報の違いがあるかもしれません。ご理解ください。
お世話になっております。筆者のらっこです。
今回のテーマはこちら!
~ジャニオタとよむ日本の文学~HiHi Jetsに朗読劇してほしい江戸川乱歩作品について考えた
イエーイ!!!
今まで何度かはてぶろで読書感想文を書いてきましたが、今後それらを「ジャニオタと読む日本の文学」シリーズと題し、読んだ本を紹介したりジャニーズ出演作品の予習をしたりする記事を書いていこうかと思います!
今回はその記念すべき第一弾!ということで筆者が大好きなテーマ「江戸川乱歩」で書いていこうかと思います!
さて、2021年6月19日から2021年6月27日の期間で舞台『モボ朗読劇『二十面相』~遠藤平吉って誰?~』が上演されましたね!
ジャニーズJr.からの出演は7 MEN 侍の矢花黎君、少年忍者の豊田陸人君でした。
筆者も観劇させていただきました。演者さんの演技やバンドのお二方の素晴らしい音楽、光の演出が混ざり合って怪しくも美しい、謎めいた世界観に飛び込んでいくことができました。後日私自身の考察も交えながら、改めて感想ブログを書かせていただきたいなと思っています。
ところで、なぜJetsのオタクの筆者が遠征してまで矢花黎主演の舞台を?というと、まあ7MENも好きだって言うのもあるんですが、私江戸川乱歩作品のファンでして、乱歩作品のオマージュ作品とか舞台とかみるのが好きなんですよね。
「江戸川乱歩ってそもそも誰?」という方もいらっしゃるかと思います。
京本大我君が大好きな江戸川コナンの名前の由来になったことは知ってるよって人は多いかもしれませんが、原作を読んだことのあるジャニオタさんってどのくらいいるのでしょうか。
参考までに私のフォロワーさんにアンケートをとってみました。
なるほど、ある種予想通りの結果でしたね。のちに詳しく書きますが、江戸川乱歩の作品は味わい深い世界観や芸術性がぎっしりと込められているのですが、あくどい犯罪や残虐な描写があったり、人間の心理の汚い部分にフォーカスした作品が多く、児童生徒の教育を目的とする教科書に載るような作風ではありません。また、ジャニーズが得意とするキラキラした世界観と江戸川乱歩のエログロナンセンスな世界観はいわば真逆に位置する存在でしょう。
そもそも、書店に魅力的なカバーの本や有名人著の話題作が溢れるほどに並ぶ今日、明治や大正の文学を読もうと思う若者は少ないかもしれませんね。
次に、モボ朗読劇を見に行く層に向けて、「観劇前に江戸川乱歩の作品を予習しましたか?」とお聞きしてみました。
ちょっと嬉しい誤算です。江戸川乱歩作品を予習したいと思っている層が最大だったのです。
これは愛する江戸川乱歩の世界を布教するチャンス、そして江戸川乱歩作品を語り合えるジャニオタを増やすチャンスです。こんなに素敵な中毒性の高い作品をどうしてみんな読まないんだ、きっかけがないからだよね、それはそう。しかし今、まさにジャニオタに向けて江戸川乱歩作品に触れる窓が開かれているのです。
これをきっかけに!!!みんな!!!乱歩を読んでくれ!!!!!そして私と語ろう(クソ大声)
今回はねっ!らっこさんも本気なんで鼻息荒めでお送りしていきまよ!
と思っていたら肝心の舞台が千秋楽を迎えてしまっていました。忙しさにかまけて執筆活動が滞っていました……無念……
しかし舞台を見終えた後だからこそ!!江戸川乱歩に興味をもったオタクも多いはず!!そう切り替えて布教の手を止めずに突っ走ります!!!ついてきてね!!!
- そもそも江戸川乱歩ってどんな作品を書いてるの?
- 井上瑞稀に読んでほしい幻想小説
- 橋本涼に読んでほしい幻想小説
- 髙橋優斗に読んでほしい幻想小説
- 猪狩蒼弥に読んでほしい幻想小説
- 作間龍斗に読んでほしい幻想小説
- その他読みやすい短編
- 上級者向け。さらに興味を持ったら
そもそも江戸川乱歩ってどんな作品を書いてるの?
江戸川乱歩の作品は大きく2つのジャンルに分けられます。
1つはかの有名な名探偵明智小五郎を主人公とした「探偵小説」、もうひとつはいわゆる「エログロナンセンス」と呼ばれる昭和初期に流行った世界観の「幻想小説」です。
モボ朗読劇のタイトルにもある『怪人二十面相』は探偵小説ですね
「探偵小説」は例えるなら名探偵コナンです。
不可解な事件が起こり、警察が動くが事件の真相にはたどり着けない。そこで登場する名探偵明智小五郎と助手の利発な少年・小林芳雄率いる少年探偵団。明智小五郎は冴えわたる頭脳と常軌を逸した手段で巧妙なトリックの数々を解き明かし、個性豊かで魅力的な犯人たちは負けじと彼らを欺きます。
スリル満点の展開とトリックの数々、探偵と犯罪者の知能と知能のぶつかり合いに汗握る作品です。
今日の「推理小説」の源流は江戸川乱歩の「探偵小説」と言われていますね。
そしてもう1つは今回紹介します「幻想小説」です。モボ朗読劇の中で「大人向けの作品」とか残虐な描写が云々~みたいに紹介されていたジャンルですね。
「エログロナンセンス」直訳すると「煽情的で怪奇的でばかばかしい」ジャンルの作品です。これは乱歩の『陰獣』という作品からブームになったジャンルで、火付け役となった乱歩はもちろん、『ドグマ・ラグマ』で有名な夢野久作なんかもリリースしたジャンルです。
読んでいただくと分かるのですが、乱歩の「怪奇小説」には、読書感想文でよくある「この本を読んで○○ということを学びました」「この本を読んで△△だなあと感動しました」みたいな感想は一切出てこないと考えていいです。
教訓なんてくそくらえ、ハッピーエンドなんぞしるか、人間の汚い部分の擬人化みたいなヤバい登場人物がヤバい性癖に任せて犯罪してみたり、モラル大崩壊の凄惨な事件を起こして大喜びしてみたり、まあおよそ少年には見せられない描写が満載の作品たちです。しかもハッピーエンドはほぼない。「なんでそんなことするんだよ……そんな発想出てくる乱歩頭おかしいよ……」と頭を抱える始末です。
例えるならホラー映画かお化け屋敷です。ワーッ!!と脅かされてキャー!ってなって「あー、怖かった……まだ手が震えてるよ……」みたいな後味です。学びとかは特にない。
そんな小説のどこがいいの、って聞かれるとそんな小説だからいいんです。
ちょっと現実から離れて別世界にトリップ体験してみたい、自己啓発本や深く考えさせられるような頭使う作品にちょっと疲れた、そんな時に乱歩の「幻想小説」は甘美で危険な、それでいて美しい世界に私たちを攫って行ってくれます。
私はバイトと授業とサークルで目が回りそうだった大学時代、気分転換に乱歩の幻想小説を読み漁っていました。恐慌や戦中で世の中が厳しかった時だからこそ、こういう現実逃避できる作品が流行ったのもある種納得ですね。
熱く語ってしまいましたが、そんな乱歩の「幻想小説」に育てられた筆者の性癖もまあまあ褒められたものではなく、「そんなヤバい作品を自軍に朗読してほしい!!」という欲求を押さえられずにこのブログを書いてしまいました。
なんでそんなのをわざわざブログにしたためたかって、単純により多くの人に乱歩の世界にハマってほしいからです。そう、ダイマです。ダイマはダイマでもジャニオタによるジャニオタにための江戸川乱歩のダイマです。
今回はHiHi Jetsに朗読させるなら、というテーマのもとでフォロワーを撃ち抜いていこうという魂胆です。モボのメイン客層である侍や忍者でキャスティングしようかなとも思ったのですが私欲が勝ちまして……。
今回はすべて30分以内で読める短編からチョイスしました。江戸川乱歩の作品は筆者の没後70年以上が経っている、つまり著作権の保護期間が切れているため「青空文庫」というサイトでいくつか無料で読むことができます。
ぶっちゃけアプリの方が格段に見やすいのでアプリのインストールをおすすめします。個人的にiPhoneなら「ソラリ」というアプリがおすすめですよ!
タイトル下のリンクからすぐに読むことができますので、今回のブログで気になった作品を1つ、寝る前にちょっと読んでいただけるととっても嬉しいです。
井上瑞稀に読んでほしい幻想小説
『芋虫』~サディズム、支配欲の甘美な暴走~
ホホホ、また妬いているのね?そうじゃない、そうじゃない。
(まだボランティアさんによる作業中で青空文庫で公開されていなかったのでYouTubeにあった朗読をもってきました……申し訳ございません……)
あらすじ
オタク絶対に読んでな乱歩作品その1。
舞台は戦後、主人公はとある夫婦です。主人公の三十路女時子は、戦争で負傷した夫をたった2人で暮らす家で世話をしながら暮らしています。周囲の人々はそんな時子の健気さに感心しますが、実は時子は負傷した夫をいたぶることで性的興奮を覚えるというとんでもねえ秘密がありました。
その夫の負傷もひどいもので、手足は根元からすっかりなくて、体もやけどや切り傷まみれ、顔は原型をとどめておらず耳はとれていて、唯一目だけがきょろきょろ動いている、よく生きていられたなという状態。脳を負傷しているので知的な障害もあるようです。
時子が帰宅すると二階から「トントン」という音が聞こえます。夫が頭を畳にぶつけて時子を呼んでいるのです。時子は階段を上がり、動けない夫に接吻の雨を降らせます。
選んだ理由
決して美しくない2人が主人公で、正直綺麗ではない描写や想像してぞっとするような光景もあります。しかし、お互いにお互いしかいない世界で、一方的な情欲をぶつけ合う姿はどこか甘美で、これも間違いなく愛の話だと最終的には思える作品です。衝撃の展開からの衝撃のラスト、という単語がしっくりきます。物語終盤からの怒涛の愛欲の暴走がやばいです。鳥肌が立ちます。
なんでこの作品に井上をチョイスしたかというと、まず主人公が女性なんです。リンクを貼ったのは私が一番好きな『芋虫』の朗読なですが、高い声の男性が読む女性の声が、主人公の三十路女には合うなと思ったんです。感情的なセリフや慟哭があることをを考えた時、これは演技派井上瑞稀しかいないなと。歪んだ愛がテーマの作品は井上瑞稀に読ませたさありますね。
朗読劇にするなら、井上の衣装は軍服と女性ものの着物を不自然に合わせたような衣装にしたいな。舞台上は薄暗くして、畳一畳の上に足を崩してしどけなく座らせて、傍らに意味深な風呂敷包みでも置いて、照明は井上へのスポットライトのみにしてあえて風呂敷包みには光が当たらないようにしましょう。語り部のセリフは冷ややかに、時子のセリフは感情的に、一人二役の全く違った読みをさせたいです。
橋本涼に読んでほしい幻想小説
『赤い部屋』~暇つぶしに99人殺した男の身の上話~
その遊戯というのは、突然申し上げますと、皆さんはびっくりなさるかもしれませんが……人殺しなんです。ほんとうの人殺しなんです。
あらすじ
人生に飽き飽きした退屈な会員たちが、奇怪な話をしたり悪趣味なイベントを行ったりする「赤い部屋」
その日は、赤色のカーテンや幕で覆われた「赤い部屋」の赤いびろうどで覆われたテーブルに、太いろうそくを囲んで7人の男が座っていました。やがてその夜の語り手である新入会員のTが語り始めます。人生に飽き、あらゆる刺激に満足できなくなったTは、殺人という遊戯にとりつかれ、これまで99人の人間を「悪意のない殺人」によって全く罪に問われることなく殺してきたと言います。しかしそれにも飽きてしまい、今は自殺以上の刺激が見つからないから、死ぬ前に今までしてきた殺人の話をしにここに来たと、語り始めます。
選んだ理由
「裸の少年」の嘘つきさん企画で詐欺師っぷりを発揮していた橋本涼さん。あの人を食ったような顔や表情、話し方をもっといやらしく表現したら赤い部屋の語り手Tにぴったりだと思ったんです。物語の大半はTの語りなので話し言葉が多めなのですが、小難しい言い回しというよりは普通の話し方に比較的近くて、橋本涼さんの軽めの声色がしっくりくるなと。橋本涼の美しい顔面は怪しい美しさにしっくりきます。
朗読劇にするなら、垂れ幕からじゅうたんから何から赤色で覆って、中心にこれまた赤い丸テーブル。そこにモダンな黒スーツの橋本涼を投入で決まりですね。
Tの話を聞いている語り部と、もう一人の登場人物である給仕女がいるんです。ここは一人複数役じゃなくてちゃんと分けたほうが橋本涼演じるTの魅力が際立つから、後輩Jr.と女優さんと一緒に演じてほしいな。
髙橋優斗に読んでほしい幻想小説
『人間椅子』~触覚と聴覚の世界の恋~
ああ奥様、遂には、私は、身の程もわきまえぬ、大それた願いを抱く様になったのでございます。たった一目、私の恋人の顔を見て、そして、言葉を交すことが出来たなら、其のまま死んでもいいとまで、私は、思いつめたのでございます。
奥様、あなたは、無論、とっくに御悟りでございましょう。その私の恋人と申しますのは、余りの失礼をお許し下さいませ。実は、あなたなのでございます。
あらすじ
オタク絶対に読んでな乱歩作品その2。個人的に初めての乱歩におすすめなのはこれです。
女性作家の佳子は、毎朝届くファンレターに目を通してから仕事に取りかかるのが日課です。一通り読み終わり、最後の原稿のような封書を手に取りました。当時はファンが尊敬する作家に原稿を送ることがよくあったようです。
「あーまた退屈な素人作品か、まあタイトルだけでも見ておくか」と封書を開きますが、原稿にはタイトルはなく、いきなり「奥様、」という呼びかけで始まっています。「じゃあやっぱり手紙なのか」と思い読み進めていくと、その内容はとても気味の悪いもので……。
選んだ理由
手紙の差出人である椅子職人から見たらこれは純愛物語なんです。だから「やばい」んです。その愛が肉欲的なというか、血の通ったよくな感じが非常に生生しくてよい。物語の大半は椅子職人からの手紙です。その文面が丁寧すぎるほど丁寧というか、もはやへりくだってていっそう気味が悪い。声の調子はまさゆき君のときくらい地を這わせて、そこにいやらしさというかねっちょりした感じを合わせて読むとイメージに近いかな。美しく清らかな髙橋優斗さんだからこそ、この狂った怪しい世界を表現してほしい。俳優髙橋優斗さんのファンなのでいろんな演技がみたいです。いやあ東のリアコに『人間椅子』なんてチョイスしちゃう自分のセンスがこわいっすね!!!!!
朗読劇にするなら、大きな革製のふわふわした椅子に座っていただきましょう!!そしてセピア色に変色した古本をただ淡々と読むシンプルな朗読にしよう。そこにかすかな音響がほしい。足音とか、布ずれの音とか。一番こだわりたいのは客席の椅子ですね。客席の椅子もできるだけ大きくて、ふんわりしたものがいいです。その方が引き込まれるまず。
ぜひ、これからはじめて読むみなさんも家で一番大きくてふわふわした椅子に座ってお読みください。感想お待ちしています。
『押絵と旅する男』~二次元に恋をした男の末路~
これが御覧になりたいのでございましょう
あらすじ
「私」は魚津に蜃気楼を見に行った帰りの電車で、不思議な男に出会います。中年のような老人のような風貌のその男は、大きな額縁の表側が窓の外を向くように立てかけた状態にして座っていました。男が額を風呂敷にしまおうとした時、「私」はその額に生々しい極彩色の、この世ならざる「なにか」を見ました。
「私」が気になって男に話しかけると、男は「あなたはこの絵を見たがってるだろうと思ったよ」と快く絵を見せてくれます。
そこには、老人と娘が生きたまま閉じ込められていました。
選んだ理由
乱歩本人自身が自分の代表作って言ってる作品はこれだそうです。髙橋優斗って「不可思議な出来事に巻き込まれる一般人」感が強いじゃないですか。まんまそういう話です。グロ描写や性的な描写がないのでエログロに耐性がない方でも乱歩の幻想世界を味わえると思います。
朗読劇にするなら、やっぱりセットは大正時代の電車かな。電車の座席に一人で座ってもらって、古本片手に淡々と語ってもらいましょう。
髙橋優斗が座ってる横長の座席の反対端に、大きな額と、双眼鏡を意味深に置いておいて強めにスポットを当てておきたいですね。
猪狩蒼弥に読んでほしい幻想小説
『鏡地獄』~鏡の魅力に取りつかれた狂人の末路~
「ハハハハハ……どうだいこの趣向は」
あらすじ
「珍しい話とおっしゃるのですか、それならこんな話はどうでしょう」
そういってKは彼の友人の奇々怪々な話を聞かせてくれました。
Kの友人は、幼い頃からレンズやガラス、鏡が好きな少年でした。中学生になって凹レンズと出会ってからというもの、その魅力の虜になってしまった友人は、実験室を作って研究に没頭するようになります。高校に行って物理を習うようになるとその興味にはどんどん拍車がかかり、望遠鏡を作って他人の家をのぞき見したり、ノミを半殺しにしたのを拡大して観察したり、しまいには巨大な実験室を作ってそこで様々な鏡を製造し、異常な実験を始めるようになりました。
選んだ理由
「これ俺の友達の友達の話なんだけどさあ」っていう胡散臭い感じめっちゃ合わない?乱歩の作品の三人称視点って凝った情景描写とかが多いんだけど、『鏡地獄』は全部一人称で書かれてて、Kの自然な口語がすごく猪狩っぽい話し方なんですよ。そしてKの友人の鏡狂も、すごく理屈っぽい話し方をするのが猪狩さんとの親和性が高いんです。
第三者を冷めたように見る態度、だんだん語り手とKの境があいまいになって、語り手の猪狩はもしかして全部見てきているのでは、と疑ってしまう謎めいた不安を掻き立てられる感じがたまりません。グロ描写はほぼないのでこれも読みやすい方かも。
朗読劇にするなら、を考えると一番難しいんですが、落語みたいに和服で座布団に座って話してもらうのがいいかな。友達に面白い話を聞かせる時みたいなテンションで語り始めて、どんどん狂った話になっていく感じ。座りっぱなしじゃなく、立って歩いたり身振り手振りしたり、動き回る朗読劇でどうだろう、
作間龍斗に読んでほしい幻想小説
『蟲』~愛する人を永遠に自分のものに~
「許してください。許してください。僕はあなたが可愛いのだ。生かしておけないほど可愛いのだ」
申し訳ない、青空文庫にもなければ30分で読み終われない長さなんだけど俺はこの作品を作間龍斗に読ませたいってことを語りたくてこのブログを書いてるんです。ここがサビです(大声)
あらすじ
主人公の柾木は幼いころから人見知りでしたが、それが悪化して青年になったときには人嫌いと言えるほどになり、引きこもりがちの生活をしていました。そんな柾木の数少ない友人の池内から木下芙蓉という美人女優を紹介されます。木下芙蓉は、柾木と池内の共通の幼馴染で、柾木の初恋の人でした。池内は柾木に自慢するつもりで芙蓉を紹介したのでした。
柾木は恋心を募らせ、ストーカーまがいののぞき見を始めます。ひょんなことから木下芙蓉と急接近した時、柾木が渾身の勇気を振り絞ってアプローチしますが、木下芙蓉はそんな柾木の行為をはねのけ嘲笑しました。柾木は芙蓉への恋心と憎しみを同時に抱いたまま、木下芙蓉を殺して自分だけのものにしようともくろみます。
選んだ理由
オタク絶対に読んでな乱歩作品その3。筆者のらっこがめちゃくちゃ好きな作品です。作間君の陰のある感じが主人公の柾木にどことなく被るんですよね。柾木、人嫌いすぎてめちゃくちゃにリアルな人間観察しててぞっとするんですけど、そういう観察眼が作ちゃんにはありそうだなって。そして大正文学の三人称文特有の小難しい文章がめちゃくちゃ合うんです、作ちゃんの落ち着いた声に。作ちゃんの声って乱歩作品との相性がいいと思う。
そしていわゆる「ヤンデレ」の真骨頂みたいなやばいことめっちゃやるんですよ柾木が!!!!!(大興奮)芙蓉が死んでから自分だけのものになった芙蓉に酔いしれたり、芙蓉を永遠のものにしようと奮闘したり、変わりゆく芙蓉の亡骸になすすべがなくて焦ったり(この焦りの描写がハチャメチャにいい)最期は衝撃の後味の悪さでクセになります。そうです私は変態です(ひらきなおり)
美しい人間がヤバいことしてるとめちゃくちゃに興奮するタイプです。
『火星の運河』~色のない世界に色を求めた、まさに「幻想」の物語~
10分くらいでよめる超短編だから読んでほしい。ストーリーと言えるのかも曖昧な、読みやすいのに「何だこの話……分かんねえ、分かんねえよお……」ってなる作品なんだけどひたすら美しい文章なの。どこか中性的な魅力のある作間さんに読んでいただきたかった。 謎めいていて本当に好きな作品なのでねじ込みで紹介しました。
その他読みやすい短編
長々語ったくせにまだまだ紹介したりない乱歩オタクなのでおまけのやつです!!
『指』
マジで2分くらいで読み終わります。一瞬すぎたし文章も現代語の書き方に近くて非常に読みやすいです。初めて読んだ後は「こんなもんかあ」と思ったけど、後からじわじわとせまっくてくる不安感がいいです。一瞬でこんなに不安にさせる乱歩の力よ……後引く怖さ。
『踊る一寸法師 』
もうね、ひどい話ですよ(好き)江戸川乱歩の幻想小説では、障碍者に目も当てられないような犯罪をさせたり犯罪の被害者にさせたり、今の時代なら差別とかで問題になるんじゃないかって作品がたくさんあります。でもその障害者(当時は不具者と書かれていました)達の登場が乱歩の幻想小説の非現実感を抱えています。不具者をひどくいじめる人間の姿を遠慮なく書いて、その人たちが最終的に何を見せられるのか。これを見たら障害者に対する印象が変わるかも。いい方向に、とは決して言えませんが。グロ耐性ないやつは読むな。
『お勢登場』
女って強いよな……と思わざるを得ない作品です。旦那さんがひたすらかわいそう。グロ描写はないですが後味の悪さはなかなかのものです。文体も非常に読みやすく、展開も明快、20分もあれば読めるお話です。
上級者向け。さらに興味を持ったら
『陰獣』
乱歩の様々な過去作のタイトルや犯罪者たち、エッセンスが散りばめられたアベンジャーズみたいな作品です。乱歩の作品をたくさん読んでから読むと感激が違います。乱歩にガッツリはまった方向け。
『黒蜥蜴』
モボ朗読劇で言ってた「探偵小説だけど怪奇的ニュアンスが含まれてる作品(ニュアンス)」って言ってたのがこれ。明智先生が出てくるシリーズで唯一の女賊ものです。頭脳戦のぶつかり合いあり、アクションあり、エログロ要素あり、恋愛要素ありの読み応え抜群の長編です。間違いなくおもしろいやつ。
『盲獣』
ラスボスです。書いた乱歩本人すら「やべえもん書いちゃった。読んでて吐き気がする。ちょっと休載します」ってなったくらいのやつです。ちょっと普通のエログロじゃ足りないっていう強い読書家におすすめです。私は読了後気分を悪くして3日くらい不快感を引きずりました。
さて、長々としたブログにお付き合いいただきありがとうございました。もはやここまで生き残っている読者様の方が少ないかと思います。というか誰かここまで到達した人いるん?いないだろうから適当に締めますね←
とはいえ、一番紹介したかった『蟲』を文字でお届けできなかった悔しさはすごくあるんですよねえ……私の手元には『蟲』が収録されている文庫本があるのに……もうこの文庫オタクにあげたいので誰かほしい人いたらDMしてください。喜んでプレゼントするので(わりとガチ)
もし気分を害さずに読んでくださった方がいましたら、是非引リツやコメントでの感想・解釈などお願いします!!ぶっちゃけJr.大賞よりも引リツしてほしいよ!!乱歩オタクはガチです!!
次回のブログもよろしくお願いいたします!今度はもうちょいまともなブログ書くから安心してね!!