橋本直と高階良彦、猪狩蒼弥と作間龍斗~『オートリバース』読書感想文
はじめに 『オートリバース』との出会い
2020年11月28日にライブ配信された「Johnnts’Jr.Island FES」にてHiHi Jetsの新オリジナル曲「ドラゴンフライ」が初披露されました。12月11日にはジャニーズJr.チャンネルから「ドラゴンフライ」初披露の動画も解禁されましたね。
時はちょっと遡り、11月19日には、HiHi Jetsが日本民間放送連盟ラジオ委員会とradikoの共同キャンペーンである「ラジオっていいね」の公式アンバサダーになることが決まり、メンバーの猪狩蒼弥君と作間龍斗君が青春ラジオ小説「オートリバース」で声優を務めることも同時に発表されました。
青春ラジオ小説『オートリバース』の詳細はこちらから📼
— 書籍『オートリバース』公式 (@autoreversebook) 2020年12月1日
radikoでの配信予定や、放送局・放送時間一覧などご覧になれます📻
radiko版は全11話👀💕#オートリバース https://t.co/aEr2WUs75v
このエモポスター、毎日更新で新ビジュアルが出続けていてオタクは支給過多で待ってくれとしか言いようがない状況です。今8種類くらいあるはず。平然とぽんぽん出さないでください公式様心臓が死にます(ありがとうございます幸せです)
恥ずかしながら、私はこの発表があってから『オートリバース』は高崎卓馬さんの小説が原作であると知りました。
(上の特設ページでなんと64ページ分も試し読みできるので是非読んでください……!!こんなにたくさん試し読みさせていただけるの感謝でしかない……!!)
本好きで推しが出演する作品の原作予習はする派の私は情報が出てすぐに小説を購入したのですが、実際に読んだのは「ドラゴンフライ」を配信で聞いた直後でした。
だから順序というか、私の「オートリバース」遍歴としては
「HiHi Jets(ラジオ小説主演俳優陣)」→「ドラゴンフライ(ラジオ小説テーマソング)」→『オートリバース(原作小説)』→「オートリバース(ラジオ小説)」となるわけですね。
配信で初解禁された「ドラゴンフライ」を聴きながら、これは『オートリバース』の二人の曲だと確信しました。
Aメロは作ちゃんが歌い出しで、ガリさんのソロが続いて、最後のフレーズも二人。
当然いがさくはずっとシンメでソロがあるのは二人だけだったし、ユニゾンパートはゆとはしみず、いがさくでやはりここでもいがさくは二人だけで分かれてました。
ラジオドラマのビジュアルポスターの中いた二人も、小説のカバーで並んでしゃがんでいた二人も。
「ドラゴンフライ」の歌詞に出てくる「僕ら」も、彼らだと確信しました。
そしたら、今まで解禁されてたビジュアルのポスターのイメージと「ドラゴンフライ」の楽曲の印象が重なって、早く原作を読まなきゃと思ったんです。
あのポスターの中の二人が見ていた世界を私も見たい、「ドラゴンフライ」が彩る世界を見たい。
仕事がちょうど忙しい時期のド平日だったけど、毎朝いつもより1時間以上早起きして時間作ることにしました。
本を開く前に、配信を見ながらなんとかメモした「ドラゴンフライ」の歌詞を振り返って、わくわくしながらいろんなことを考えました。
自分用
— ら (@rakkoooo_HiHi) 2020年12月6日
HiHi Jets「ドラゴンフライ」歌詞 pic.twitter.com/mUHgq7yNf4
(自分用耳コピなので軽度な違いがあるかもですご了承を……)
「ドラゴンフライ」は、なんと『オートリバース』の作者である高崎卓馬さんが作詞してくださったそうなんです。
どうして「僕ら」はつばめでも蝶でもなくとんぼなんだろう。
ドラゴンフライ、龍の要素があるから作間“龍”斗と名前的に被るけど偶然かな。
とんぼは秋の季語だけど関係あるかな。小説の舞台は何月なんだろう。
「ドラゴンフライ」のどこか切なくて軽やかなメロディーから連想したのは秋の夜明けの港だったけどあってるかな。
でもとんぼは海を越えない気がする。
とんぼ(僕ら)は彼らだとして、「海」はどこか、「この街」はどこか、二人は何に閉じ込められているのか。
会いたいは、痛いなのか。
どんどん知りたいことが出てきました。
同時に、もしかしてまだ公開されてない「ドラゴンフライ」のフル尺があるとしてCメロにはどんな言葉が出てくるんだろう、とか。
まだ見ぬ歌詞には2人を取り巻くどんな言葉が出てくるんだろう。
見えないパーツを想像して美しさを感じるの、なんかミロのヴィーナスみたいですね。
むしろ、抽象的な表現が多くて聞き手によっていかようにも解釈できるこの曲全体がミロのヴィーナスなのかもしれないけど。
曲がりなりにも読書好きを公言するものとして、どんな解釈ができるのかが楽しみでした。
読んでみた
本当にたくさんの感想が生まれて読み終わってからしばらく放心状態になっちゃったくらいだったんだけど、今回は「橋本直と高階良彦、猪狩蒼弥と作間龍斗」というテーマに絞って、2人と2人の共通点とか被ってる部分とか、そういうところを自分の解釈のままに語っていきたいと思います。
当然のようにネタバレ注意ですのでお気を付けください。そしてすんごい走り書きです、要素をかいつまんで読むのがおすすめです。
いろんな解釈の可能性にわくわくしながら本を開いて、早速ゾッとしました。
タイトルの斜め上に描かれた繊細なとんぼのイラストが目に飛び込んできました。オニヤンマでした。速攻で「ドラゴンフライ」の伏線が回収されてしまった。
とはいえオニヤンマはちょっと意外なイメージだったかも。「ドラゴンフライ」からは正直もっと脆くはかない、秋らしいイメージのアキアカネとか想像してたので。
ちょっとにじんだ書体のオートリバースの文字が印象的でした。
儚い、切ない字体だったように感じます。
たった1ページのタイトルページなのに正直もうハッピーエンドの予感がしなくて早速打ちのめされた気分でした。
わくわくから一変、おびえながらページをそっとめくりました。
ーねえ、小泉、
高階、死んじゃったよ。
またゾッとしました。すぐに青空の下で笑いあうポスターの二人が思い浮かびました。
あのふたりの、どちらかが、しんでしまう。
どちらかが、青空に吸い込まれて消えてしまう姿を連想しました。
さっき感じてた儚さは間違ってなかったのだと漠然と思いました。
ふと心当たりのある画像があった気がして、ページはそのままに散々見てきたポスターの画像のうちの1つを開きました。
小型ラジオらしきものを投げ渡す二人の画像です。
猪狩さんが片手で扱っていることから見て、おそらくラジオを渡してるのは猪狩で、受け取っているのが作間。
片手で投げる猪狩。両手で受けとる作間。
何て美しいんだろう。
この所作1つに、二人のひととなりが現れているような気がする。
どっちが高階なんだろう。物語が主人公視点で進んでるものだとして、冒頭の言葉が高階のものじゃないと仮定するならば、どっちが高階だろう。
「蝉はまだ夏休みが終わったことを知らないようだ。うつむくとダラダラ吹き出す汗が目尻から入り込んでくる」
すごくいい一行目だなーと思いました。
主人公が学生であること、夏の終わりという時期、残暑特有の蒸し暑さ、暑さを不快と受け取る主人公の明るくない心情。すべてが伝わってくる気がします。
主人公の橋本直は、福岡の高校から千葉に転校してきた中学2年生。
でも転校先の高校については「何も期待してないからビビる必要もない」「福岡でそうやって生きてきたように、こっちでも息を殺して身を屈めて生きていけばいい」と表現しています。
息を潜めるではなく殺す、ってあたりに直の性格というかキャラクターを見た気がしました。自分を周りになじめない宇宙人や幽霊に例えて、疎外感や居場所のなさを感じてる橋本。
九州の訛りを隠さないで話す母親がうっとおしい、かと思えば隠しても話す姿も吐き気がする。いかにも中学生らしい反抗心だけど、単に反抗期の中坊というよりは、「千と千尋の神隠し」の千尋みたいな印象を持ちました。ふてくされてるようにも見えます。
そんな橋本と同じ日に転校してきたのが、高階でした。
「自己紹介、一応しようか」
担任が直をみんなの前に立たせた。目立たないように適当に済ませればいい。「残念なお知らせがあります」みたいなテンションでしゃべればどうせみんなすぐに忘れる。
「遅れましたっ!」
突然、能天気な声が場違いに響いて、しおれたキャベツたちが何事かと少し動いた。誰だ?ハゲが一緒にいるということはさっき話に出ていたもう一人の転校生か。そいつは遠慮なく黒板の苗に立って、直にじっと目を合わせると歯を豪快に見せて笑った。直は無視して予定通りの小さな声で自己紹介をすませた。
「福岡から来たハシモトナオです」
するとそいつは直が言い終わらぬうちに割り込んできた。
「タカシナヨシヒコ、親が離婚して再婚したんで、まだこの名前に慣れてませんっ」
ザワッとする教室の中で、直は変わった自己紹介をするその男の横顔を見た。背が高いくせに女みたいに肌が白くて綺麗な顔をしている。
「本当のこと言って何が悪い」
そいつはまた歯を見せて笑った。足元の影が黒々としている、嫌味なやつだ。こういうやつといると自分の端緒が目立つだけだ。直はそいつの直視に耐えられず目線を外した。
この、7ページから8ページにかけての16行がどうしようもなく大好きです。
2人のキャラがこんなに伝わる16行ない。何度読んでも「いいなあ」としみじみしてしまいます。
ぶっちゃけこの8ページ目で、「どっち」が「どっち」か全部決まってしまいました。
3ページ目くらいでは直から作間さんの面影も猪狩さんの面影も感じてたけれど、高階が出てきたとたんに急変しました。油断して曖昧に読んでたら唐突に頬にビンタとかくらった気持ちです。
いや、容姿についての描写が決定打になったと言ってしまえばそれまでなんですが、何度も読んでると、高階の強いのに飄々としてどこかつかめない感じは作間龍斗だなと思いました。
もしラジオ小説の情報を抜きにして読んでたら私の脳内が作り出す高階は別の容姿だったのかもしれないけれど、今回はびっくりするほどガチャンと、猪狩蒼弥と橋本直、作間龍斗と高階良彦のイメージが固まってしまいました。なるほどラジオ小説の情報が先に入ってるとこうなるんですね。思えば「オートリバース」のいがさくポスターのビジュアルで笑顔が多かったのは作間さんの方だったかもしれません。
そして寒気がしました。
彼が死ぬんだ。
生命の有無は分からないけど、作間龍斗と同じ顔をした彼の、心か体が死ぬんだと。
高階は80年代の校内暴力真っ盛り時代の不良を涼しい顔して撃退し、そのことを周りに感謝されてもどこ吹く風です。
ますます作間さんっぽいなーと思いました。
というのは作ちゃんが喧嘩強いとかそういうわけではなく(むしろ弱そうですらある)涼しい顔してひょいひょいすごいことしてるあたりが、です。
ここでHiHi Jetsのいがさくのエピソードもよぎりました。
↑詳しくはこちら
数年前、HiHi Jetsに入る前の作間さんの話です。
美しい容姿を持ち、ダンスもアクロバットもピアノも、ジャニーズJr.に必要なことは何でもできて、無所のプロとして与えられた仕事を正確に的確に高い完成度でこなしてた作間さん。
Jr.マンションでは定位置に入らず、全員分の振り付けを覚えて抜けがあった部分に入って踊るなんている常人ではまず考えられないようなことをしていたようです。また、初期HiHi Jetsのスーパーリベロとして怪我をした猪狩さんの代わりにパフォーマンスのカバーを行ったことも。
どの面でもエリートで信頼も厚く、なにか困ったことがあったり「これ誰にやらせよう」みたいな役割がでてきたときは「作間にやらせよう」みたいな流れになっていたそうです。
「作間龍斗」のキャラクターや個性は出さず、先輩たちをバックで支え続ける自分を「自分を主張しようとしてこなかったの。ロボットみたいなかんじ」って表現してた作間さん。
必要とされていたけれど、「作間龍斗」を求められていなかったことを作間さんは自分で感じていたのかもしれません。
高階が、そして直も感じていた「居場所のなさ」を程度の差はあれど作間さんも感じていたのかもしれないですね。
(今まで)個人として必要とされることがなかったから、自分の活躍できる場所が見つかった感じがした。自分の力を出せる場所があるんだな……っていうので、決めたのかな。
そんな作間さんに何度もHiHi Jetsに入ってくれるように頼んで、入ってからも「作ちゃんがいたから」ってことを何度も伝えてた猪狩さん、そしてはしみず先輩と優斗君。
猪狩さんが作間さんに抱く「特別」感ってすごく顕著だと思ってて、それは年上でかなり先輩のはしみずや、年上の後輩でなにかとぶつかってた優斗君と、引っ張ったり引っ張られたりするだけじゃなく、隣で一緒のペースで走ってくれる作間さんの存在が猪狩さんにとってすごく大きいからなのかなって感じます。
HiHi Jetsが、猪狩さんのとなりが、作間さんが自分を出せる大切な居場所になっていることがとても嬉しいです。
「居場所のなさ」を感じて、居場所を求めて一緒に走って生きた直と高階を演じたのがこのふたりでよかったと思います。
余談ですが、HiHi Jetsのオタクは何度も聞いてきた、Kis-My-Ft2さんのライブのリハで「Everybody Go」の間奏の振り付けを誰もわからないという事態が起きた時、当時レッスン生だった作間さんだけが振りを知っていて100人の前でいきなり前に出てレッスンを始めたことがきっかけで露出が増えたという強烈なチートエピソードも、高階の強烈な転校初日のエピソードに被る部分があってにこにこしましたね。
冷めてるように見えて中学生らしくいじけるし焦るし嫉妬もする直より、笑顔だけど飄々としてて何考えてるかわからない高階のほうがアンドロイドっぽいしそういう意味では作間さんっぽいな、なんて思いました。
作間さんがHiHi Jetsに入ってからちゃんと接するようになった優斗君や瑞稀君には「まさかこんないかれた子だと思ってなかった」なんて本性にびっくりされることが多かったみたいですが、雑誌のインタビューで「作ちゃんは初めて会った時に宇宙人みたいな子だと思った」って話してた猪狩さんの「特別感」伝わりますかね……(伝われ)
家にも学校にも居場所がなかった高階の誰より近くにいて、誰より高階の近くにいたくて、つかみどころのない高階を結局一番分かってて、最後まで高階の「居場所」であった直を演じるのは、やっぱり猪狩さんしかいないんだなって思いました。
スカウトでジャニーズに入所し、今ではグループのブレーンとしてリハを引っ張りトークを引っ張り作詞作曲をし、とエリートコース爆走タイプに見える猪狩さんも、仕事が全くなくなってやめようと思ったり、後から入ってきたはずの作間さんが自分より前の列に出て焦ったり、大事な舞台で失敗して泣きながら土下座したり、2年おきに骨折したり、決してエリート街道ばかりを走ってきたわけではなかったなんだなって先週のHiHi JetsのYouTubeを見て思いました。
猪狩さんも「居場所のなさ」を感じていた時期があったのかもしれないですね。
他人に関心持たないように、関わらないように我が道を行きたいように思えて、高階のお荷物になりたくない、対等になりたい、って願いがありあり見えてる直の姿からは人間臭さを感じるし、高階を助けるために慣れない喧嘩に飛び込んでぼろぼろになる直の姿からは、「どうせジャニーズやめるなら最後に目立ってやろう」とある意味躍起になって踊ってた猪狩さんの姿と重なる部分がありました。
表面上は取り繕ってても、崖っぷちでなんとかなりたい自分になろうともがく人間臭い直も、猪狩も、どうしようもなく人間としていとおしいです。
だからこそ、高階が親衛隊の隊長になって暴力を正当化して自分の知らない高階になっていく時の直の不安は自分も苦しいくらい感じたし、直が見たくない高階の姿は私も直視できなくて読んでて苦しかった。
小さなトンボが広い海を渡るなんて
雄大なロマンを感じますね。
きっと私たちも不安と希望の入り混じった
人生の海を渡っていく小さなトンボなんだと思います。
一生懸命生きても、いい加減に生きても、一生は一緒。
どうせなら楽しく生きていきましょうね
きた。「ドラゴンフライ」の正体の鍵になる文章。
陸も船もないのにやみくもに飛ぶ。
高階の姿と「ドラゴンフライ」のトンボの姿はかぶってると思いました。
ある程度大人になってしまった私はアイドル親衛隊の名目のもとに暴力にはしる高階が何をしたいのかわからなかったけど、高階は自分の居場所である親衛隊を守ろうと、必死に、懸命に、若い命を燃やしていたんだなと思いました。
海を知らないトンボ、まだ長い人生を知らない高階と直。
傍から見たら愚直で哀れに見えても、なにかを懸命に目指すその瞳は輝いているのかもしれない。
高階の瞳は穴の周りが薄いエメラルドグリーンをしている。
「オニヤンマと同じ目だ」
(中略)
「俺とトンボの目が同じ色?」
「オニヤンマの目ってエメラルドグリーンなんだ」
「嘘つけ、黒だろ?」
「生きてる時だけエメラルドグリーンで、死んだらなぜか黒くなるんだ」
「へえ。そういえば俺、死んだのしか見たことないかも」
「標本はみんな黒いからね」
「……それってさ」
高階が薄いエメラルドグリーンの目でじっと直を見た。
「魂の色かも」
「魂?」
「だって死んだら消えるんだろ。だから魂ってきっとエメラルドグリーンなんだろ」
「そうかもしれない」
高階が死んだらその目の色は消えちゃうのだろうか。
やっぱり全編通してオニヤンマの描写が多いです。この本を読んでから「ドラゴンフライ」を聴いたらまた違った感動があったんだろうな、でもこの順番でしか感じられない感動もあったんだろうしそれはそれでよかったのかもなとも思います。人生って不思議ですね。
ラストシーンは、もう言葉にならなかった。どうしてもみんなに読んでほしい。
高階のエメラルドグリーンが消える瞬間は、予想外で、苦しくて、怒りがわいて、でもどうやっても美しかった。
最後の最後に、高階はちゃんと海の向こうに見えていた小さな光を掴んでいて、居場所を見つけたんだと思った。
まとめに
読み進めていくうちに、いつのまにか私の中で、小説の中を生きる二人は猪狩さんと作間さんと同じ顔だけど猪狩さんと作間さんじゃなく、はっきりと直と高階になってました。
他の登場人物はみんな輪郭が曖昧で、でも二人だけは明確な二人だけの世界を見た気分でした。
まさに「青春小説」でした。
感情の純度、有り余る若さ、危なっかしさ、生と死、すべてが眩しくて胸が焦げるようでした。私も、高階の瞳のエメラルドグリーンを見たかった。
そう思ったら、本を閉じてしばらくしてから泣けました。
「トンボ」とか「グリーン」とか、この作品にはいろんな伏線要素があったと思うんだけど、個人的に一番だったのは「息」の描写です。
彼らのマドンナであり居場所の核であった小泉今日子が歌う時の懸命な息、高階の病室での呼吸。
「生」の象徴でもある「息」の描写に注目すると、ラストシーンで打ちのめされるのでおすすめです()
そして改めて「ドラゴンフライ」を聞いてもっと泣きました。
猪狩さんと作間さんの声なのに、直と高階の声だと思いました。
ローラー履いて滑りまわる作間さんも猪狩さんも私の目には見えませんでした。80年代の暴力や喧騒にあふれた日本を懸命に生きる、同じ顔立ちと目の色をしているけど、違う2人。
瞬間瞬間を生きる燃えるような命が、美しい輝きのままとろとろ消えていく様も、静かに燃え続ける様も美しかった。
火が消えた後も、煙のように軽く、直のそばにいる高階も。
『オートリバース』を読んでから聴く「ドラゴンフライ」は尊いし苦しいし、言いようがなくて困りました。
読んだ直後は大好きな推しの優斗君の声も入れたくなくて、直と高階の声だけ聞かせてほしいとすら思ってしまった。
世界が直と高階の二人だけならよかったのにとすら思うレベルで、2人の命の輝きに打ちのめされていました(今は5人で歌ってるドラゴンフライが好きです)
妄想だけど、歌ってるパートとかから考えて、ゆとはしみずは俯瞰してる目線なのかもと思いました。
がむしゃらに飛んでいくトンボを見ている、私達と同じ目線。
高階だけじゃなく、直も作間さんも猪狩さんもちゃんとトンボだった。おんなじ目の色だったと思います。
親衛隊という居場所で生きる橋本直と高橋良彦。
「この胸の穴はあなた」
「この傷がくれた夢」
やっぱりこの曲にCメロなんかなくてもいいかもしれない。作者さんの洗練された短い言葉。そこから自分達が思う高階と直の姿を描いて愛していけば。
軽くて切なくて秋に似合う曲。そういえばHiHi Jetsは全員秋生まれでしたね。
そんなこんなしてたら新ビジュアル解禁されて腰が抜けました。作ちゃんの眼のふちの色、エメラルドグリーンに見えるんです。
ああ、高階が生きてるって思いました。
直の中にも、作間さんの中にも、高階が生きてる。
新ビジュアルが解禁されるたびに今までと違ったベクトルでダメージ受け続けるのかと思うとしんどいですね。嬉しい悲鳴。
ラジオ小説が心臓が痛いくらい楽しみです。ドラマが始まったとき、私の大好きな二人は私の大好きな二人にどんな命を吹き込むんだろう。
猪狩蒼弥と作間龍斗の「解釈」を聞かせてもらえる気がして楽しみ。
またラジオを聴いたら「ドラゴンフライ」がもっと好きになるんだと思います。
ファンに愛される歌になりますように。彼らが海をこえていく力のひとつになりますように。#ドラゴンフライ #HiHiJets
— 高崎卓馬 (@takumantakuman) 2020年11月28日